植物と音楽の不思議な関係については、古くから様々な研究がなされています。進化論のダーウインの時代から行われており、1960年代にはインドやアメリカの植物学者から、音楽を聞かせると植物の気孔が大きくなり、通常よりも発芽や生育が早いという研究が報告されています。

中でも今から約50年前の1970年、一人の「おばあちゃん大学生」ドロシー・リタラック夫人の研究は、アメリカ中を論争に巻き込みました。

1968年、8人の子供が無事成人して時間をもてあましたリタラック夫人は、音楽の学位をとるためにテンプル・ビュエル大学に入学しました。生物学単位取得のため、彼女は友人と植物に音楽を聞かせて反応を見る実験を行い、音楽を聴かせたセントポーリアの方が枯れにくかったというレポートを提出します。

このレポートに理解を示した大学側は、リタラック夫人にまったく同じ条件に維持された2つの温室を提供、そこにカボチャ・トウモロコシ・ペチュニア・キンセンカ・百日草を植えて、一方にはクラッシック専門の音楽を流すラジオをいれ、もう一方にはロック専門番組を流すラジオを入れたのです。その結果、クラッシック温室の植物はラジオの方へ伸びていき、スピーカーに巻きつくものさえありました。逆に、ロック温室の植物はラジオから遠ざかるように反対の方向へ伸びていったのです。

彼女の研究はさらに進み、以下のような結果がでました。
・ロックを聞かせた植物はクラッシックを聞かせた植物の2倍の水を消費
・ロックを聞かせた植物の根の長さはクラッシックを聞かせた植物に比べ4分の1程短い
・植物はクラッシックの弦楽器(特にバッハ)、インド古典楽器シタールの音を好む
・植物は打楽器の音は好まない

そして、この話を聞きつけたCBSテレビが全米放送します。賛否両論が巻き起こる中、植物がレッド・ツエッペリンなどのハードロックから逃げるように伸びていき、また通常より早く枯れてしまうことから「ロック音楽は麻薬同様若者に対して有害なのでは」という議論にまで発展しました。その後本格的な検証は行われていなく、音楽と植物の関係は謎に包まれたままですが、大きな話題となりました。現在でも、温室にクラッシック音楽を流して野菜を育てる農家もあるそうです。

植物はクラッシックがお好き。人に安らぎを与え、自分では動かない植物はロックのリズムは苦手なのかもしれません。