時代の色、ホライズングリーンが伝えるメッセージ

一般社団法人・日本流行色協会(JAFCA)は、その年ごとに流行色として「時代の色メッセージカラー」を発表しています。今年2025年に選ばれた色は「ホライゾングリーン(Horizon Green)」です。青みを帯びたこのグリーンには、どんなメッセージがあるのでしょうか。

〇自然を身近に感じる安心感

ホライズングリーンは、深い森や豊かな海、美しい珊瑚といった自然の雄大さを想起させる色です。日本流行色協会は、水平線(ホライズン)が象徴する「つながり」や「視野の広がり」をテーマに、 「冷静なまなざし」と「確かな希望」を表現する色としています。確かに自然にフォームの始まりフォームの終わりは広大なイメージがあり「安心感」を与えます。この「安心感」は、単なる心理的な癒し以上のメッセージがあります。

近年はテクノロジーの進化やデジタル化が加速する一方で、人は情報過多や将来の不安、ストレスにさらされています。その反動として、自然素材の商品や心を落ち着ける色彩に対するニーズが高まっています。

実際に各業界で自然を基調とする考え方が広まってきており、例えばファッション業界ではサステナブル素材だけではなく、自然要素をとりいれた落ち着きを得られる色やデザインが重視されています。商業施設や飲食店では自然素材を活用して店内を「癒しの場」とし、集客効果を生んでいます。

「バイオフィリア(Biophilia)」という新しい概念も生まれました。「バイオ=生命・生き物・自然」と「フィリア=愛好・趣味」を合わせた造語で、「人は自然とのつながりを求める本能的欲求がある」「人は自然と触れ合うことで、健康や幸せを得られる」という考え方です。具体的な建築環境に活かしたデザインを、バイオフィリックデザインと呼びます。ビジネス心理学を研究するアメリカのロバートソン・クーパー社は、世界16カ国(イギリス、フランス、ドイツ、UAE、中国、インドなど)、7000人を超える働く人々を対象にして、職場におけるバイオフィリック・デザインがどのように人々に影響を与えるかを調査しました。その報告書によると、職場環境に自然を取りいれると、働く人の生産性・創造性・幸福度が上昇する効果があることがわかりました。数値にすると、生産性は6%、創造性と幸福度は共に15%のアップが見込めると発表しています。「自然の安心感」が次のビジネスの競争軸となることを示しています。

この流れは、まさにグリーン・ポケットが提案する「小さな森」そのものです。私たちは室内に観葉植物をひろげることで、「自然の安心感」をお届けしています。そして科学的に証明した植物のメンタルヘルス改善効果やコミュニケーション活性効果をいかした最適のグリーンレンタルを提案しています。特に今年は「緑は流行色です」とお薦めし、多くのお客様にご利用いただいております。

〇世界中の紙幣に緑色が使われている理由 

 緑色が社会に安心感をもたらした史実を紹介しましょう。現在多くの国の紙幣に安定を意味する緑色が使われていますが、そのはじまりはアメリカの「グリーンバック紙幣」だという話です。

南北戦争時代の1861年、戦費調達に苦しむリンカーン大統領は、金銀の裏付けがない紙幣の発行を行います。裏面が緑色のため「グリーンバック」と呼ばれ、緑色にしたのは理由がありました。1つは偽造防止のために緑インクが退色し難く乾きが早かったことです。もう1つは、緑は「安定」「安心」「信頼」を象徴する色であり、通貨に求められる価値と一致するからです。苦肉の策ながら法定通貨として認められ、アメリカ経済の混乱をお抑える重要な役割を果たしました。その後のドル紙幣にも緑色が使用され、世界的に広まったのでしょう。緑色が安心感を与え、経済の発展につながったのです。

現在のトランプ大統領は、“赤”を象徴としています。強気で世界中と交渉していますが、思う通りにいかない面もあるようです。歴史に習い、今年の流行色に習い、“緑”のイメージで進めてみてはどうでしょうか。