松は長寿、竹は成長繁栄の象徴 ~日本文化を継承する門松の歴史~

街が華やかなイルミネーションで彩られる中、私たちはお年賀商品の準備を始めています。今年の年末カレンダーはクリスマスが明けるとすぐに休暇となるお客様が多く、私たちの業務スケジュールもタイトになりそうです。

〇門松は平安時代からの日本文化

正月の飾り物といえばしめ縄や生花アレンジなど様々ありますが、メインはやはり門松でしょう。門松は古来より、年神様(歳神様)を迎えるための依り代であり、天から目掛けて降りてくる目印とされてきました。起源は宇安時代と言われます。当時の宮中では「小松引き」という行事が行われていました。これは、W0初子の日に外出して松の小木を引き抜くという遊びで、持ち帰った松を長寿祈願のため家に飾り愛好する習慣があり、門松はこれが変化したものだとされています。

文献上の初出は、平安後期(11世紀頃)の詩文に「門戸に松を挿す」習慣が記録されています。吉田兼好は徒然草の中で「大路のさま、松立てわたして、花やかにうしれげなるこそ、またあはれなれ」と書いています。室町時代以降は松に加えて竹が用いられるようになります。松は「長寿」、竹は「成長繁栄」を象徴するとされました。商売と結びつくのは近代に入ってからといわれます。

〇企業が門松を飾る理由

現代の企業が門松を飾る意味は、年神様を迎えるという日本文化の伝統継承だけではなく、次のような複合的な役割を持っているとされます。

経済的意味:商売繁盛・企業繁栄の祈願

・社会的意味:顧客へのおもてなし、ブランドイメージの演出

・文化的意味:伝統継承と地域社会とのつながり

業種別にみると、百貨店など小売業では来客者に対する「おもてなし」と「華やかさの演出」、ホテルなど観光業にはインバウンド客に「日本らしさを感じてもらうことで差別化」などの意味合いがあるようです。特に日本文化に魅せられた外国人がお正月の文化にも注目し、おせち料理、初詣、凧揚げや羽根つきなどと並んで、門松を始めとする正月飾りも人気があるそうです。外国人からみても、どこかスピリチュアルな雰囲気を感じるのでしょう。

〇門松に関する過去の事件

 

一般企業においては、会社の発展と社員の健康を祈願し、社内外に「新年のスタート」を告知して士気を高める意味合いが強いようです。長く続いている年始の習慣であるためか「日本の会社で初めて門松を飾った」という記録は残っていません。松などを扱う造園業・園芸業界が、仕事の流れから門松の製造・設置を担うようになったと考えられます。

1990年代には企業の総会屋対策の不祥事が相次ぎ、その中で全く関係ない植木や門松という言葉が使われたことがありました。大手企業が株主総会を円滑に進めるため、総会屋に「植木代」「門松代」といった名目で利益供与を行っていたのです。イトーヨーカドー、キリンビール、高島屋などの実態が報道され第一勧業銀行では総額460億円という資金が総会屋へ流れた大事件となりました。

勿論、植木屋や造園屋はこうした事件とは全く無関係です。しかし、植木代、門松代という言葉が悪いイメージで報道されたため、心無い誤解も受けたようです。当時の造園業界団体は業界の名誉のために、「植木業界とは一切関係なく、植木屋の名を悪用しないでほしい」と、全マスコミに対し要請したのは当然のことでしょう。

一連の事件から30数年、企業のコンプライアンスは進みこのような事件があったことすら知らない世代に変わりました。今、グリーン・ポケットのお客様の多くがレンタル同様に門松やしめ縄などご利用いただいております。コロナの時期を乗り越え、今年も多くのご注文を頂きました。大変ありがたく、感謝申し上げる次第です。

2026年に向けて

そして門松の納品が終わると、グリーン・ポケットの1年も終わります。今年も私たちのサービスをご愛顧頂き、誠にありがとうございました。来る2026年の夏、グリーン・ポケットを運営する国土緑化株式会社は創立49周年を迎えます。節目となる50周年を目前とし、その準備に向けた大切な1年となります。改めて理念「緑による文化の創造」を実現すべく、業務に励んでまいります。何卒宜しくお願い申し上げ、年末の挨拶とさせていただきます。

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