昨年度の流行色として選ばれたホライゾングリーンは、自然環境への意識の高まりを象徴し、穏やかさや安心感を社会にもたらしました。そして今年2026年はハートフェルトピンク、優しさや温もりを求める時代の空気を映し出す色として選ばれています。流行色はその年の社会心理を映す鏡であり、人々が何を求め、どのような未来を望んでいるのかを示す指標でもあります。
しかし、色が持つ力は流行の枠を超え、スポーツや企業活動といった現実の成果と結びつくことで、さらに強い意味を帯びることがあります。その象徴的な例が、箱根駅伝における青山学院大学の「フレッシュグリーン」です。
〇「新しい力」から「絶対王者」へ
もともと緑は青山学院大学のスクールカラーですが、原晋監督の就任以降チームは躍進し、同校のフレッシュグリーンは早稲田大学のえんじ色や中央大学の白地に赤といった伝統校に挑む新しい勢力の象徴でした。しかし初優勝してから12年間で9度の優勝と、圧倒的な強さをみせます。その圧倒的な実績が、色のイメージを「緑=王者」という新た上書きを生み出したのです。
この現象は、色彩心理学でいう“プライミング効果”や“連合学習”に通じます。人は色を見ると無意識に特定のイメージを想起し、そのイメージが行動や判断に影響を与え¥ます。そして、実際の成果がそのイメージを強化することで、色と結果が相互に作用し、強固なブランドイメージが形成されていくのです。
緑は古くから人の心を落ち着かせる効果があるとされ、グリーン・ポケットが植物の緑がストレス軽減することを科学的に示してからは、オフィス環境に観葉植物を置く企業が増えています。単なるインテリアではなく、社員の心理的安全性を高め、生産性を向上させるための投資として捉えられているからです。緑が多い職場では、集中力が高まり、コミュニケーションが円滑になる。結果として業績向上につながる。
つまり緑理面だけでなく、経済活動においても“成長を促す色”として機能しているのです。経済視点から見ても「緑=強い企業」というイメージは理にかなっています。近年、ESG投資やサステナビリティ経営が世界的に重視され、投資家は「環境に配慮し、持続的に成長できる企業」を高く評価します。環境配慮は企業の社会的責任にとどまらず、企業価値を高める重要な要素となりました。つまり、「環境に優しい企業=持続的に成長する企業=強い企業」という構図がすでに経済の世界で成立しているのです。
〇緑は未来を象徴するキーワード
この流れの中で、緑は「環境配慮の象徴」から「信頼される企業の象徴」へ、さらに「名実ともにトップ企業の象徴」へと意味を拡張していくことが可能です。緑を掲げることで、環境配慮を獲得し、最終的にはトップ企業としての地位を確立することができます。
実際、世界的な企業の中には、ブランドカラーとして緑を採用し、環境配慮と企業の強さを同時に表現している例が少なくありません。スターバックスの深いグリーンは「落ち着きと上質さ」を想起させ、同時にサステナブルな企業姿勢を象徴しています。LINEのグリーンは「親しみやすさ」と「信頼性」を両立し、生活インフラとしての地位を築きました。これらの企業は、緑の持つ心理的効果と経済的価値を巧みに活用し、ブランド力を高めています。
このように、緑という色は心理面と経済面の双方で大きな力を持っています。自然を思わせる安心感、若々しさを象徴する明るさ、そして勝者のイメージをまとった強さ。これらが複雑に絡み合い、時代や文脈によってその意味を変えながら、人々の心と行動に影響を与え続けています。
緑は、環境配慮の象徴であると同時に、未来を切り開く“成長と勝利の色”でもあります。青山学院大学のフレッシュグリーンが示した「成長と勝利の物語」は、スポーツの枠を超え、私たちの生活や経済活動の中にも息づいています。企業が緑を掲げることは、単なる色の選択ではなく、未来への姿勢を示すメッセージでもあるのです。
緑が持つ多面的な力は、これからの社会においてますます重要性を増していくでしょう。


























































































