福利厚生に現れる企業文化のメッセージ

                

今月は来春卒業予定の学生選考の解禁月でした。人手不足などを背景にした「売り手市場」が続き、例年の如く就職協定は形骸化しています。5月に入った時点で7割以上の学生が内定を確保しているとされ、すでに活動を終えた学生もいるようです。

そんな恵まれた環境にある昨今の若者たちが、企業に求めているのは「安定」です。ここ数年変わらないものの、その中身は変わってきています。

〇今の若い世代が会社に求める安定とは

就活サイト・マイナビが発表した「マイナビ 2026年卒大学生就職意識調査」によると、就活生たちに「企業を選択する場合にどのような特徴の企業がよいか」を複数回答で聞いたところ、「安定している会社」という回答が 1位でした。7年連続で1位であり、519%の学生が選択のポイントにあげています。半数以上が安定志向というのが今の若者です。ただ、「安定している会社」の定義が、必ずしも以前のように大会社だから、給料が高いからといったものだけではないことが、次のアンケート結果からみてとれます。

大和ハウスグループの大和ライフネクスト社は、今年3月に卒業した学生を対象に、就職する際に企業選びに重視するポイントや魅力を感じる会社の制度などをインターネット調査しました。

企業選びで重視するベスト3は「福利厚生が整っている(44.3%)」「給与の高さ(39.8%)」「職数種に興味がある(32.8%)」となりました。給与・職種を抑えて、福利厚生が1位です。給与は仕事の内容は時勢に左右される、安定的に支給される福利厚生の方が魅力があるということなのでしょう。

また、魅力を感じる会社の制度も福利厚生に関するものが人気のようです。例えば誕生日や結婚記念日は休みとするアニバーサリー休暇、仕事の成果に応じたボーナス休暇といった制度、勤務体制を子供中心とする子育て支援制度などです。そして目立つのが「福利厚生が充実しています」とアピールするよりも、この制度を「何故作ったのか」「どう活用してほしいか」という会社の想いを発信していることです。その姿勢が、福利厚生を最も重要視し、「ワークライフバランス(仕事と生活の調和)」を第一に考える昨今の若者たちの共感を得て、人気に繋がっているのでしょう。昔の各種手当や保養所などから変わってきました。福利厚生に企業文化のメッセージが現れる時代になってきました。 

その福利厚生の1つとして、緑溢れるオフィスがあるのです。緑溢れるオフィスは「活気がありストレスのない職場にしたい」「社員には健康で働いてほしい」という、会社からのメッセージです。植物にメンタルヘルス改善効果があることは我社の産学連携研究で明らかになっています。その植物が社員のため、即ち福利厚生として自分たちのために置かれている。そのメッセージを受けとめることで、社員の会社に対するエンゲージメントも強くなり、生産性が上がることが期待できます。

Z世代の採用ポイントは福利厚生にあり、その会社を知りたければ福利厚生を知ることで、それは置いてある観葉植物を見れば分かる。そんな時代になりそうです。改めて緑の役割が注目されていきそうです。