休みの日は花や緑で休養と教養を ~「働きまくる」発言に思う~

 

高市早苗員が自民党の新総裁に就任しました。自民党初の女性総裁として注目を集めていますが、決定直後の記者会見における「ワークライフバランスという言葉を捨てる」「馬車馬のように働く」という、いわば“働きまくる”発言が物議を醸し、世論の反応は様々でした。

批判的な反応、肯定的な反応

先ずは予想された批判的な反応です。労働法関係者から強い懸念が示され、日本労働弁護団は「ワークライフバランスの必要性を前提とした政治を求める」とする談話を発表し、発言を問題視しています。SNS上では「日本を疲弊させてきた精神論」「過労で倒れた人への配慮に欠ける」「自分の考えを強いる一種のハラスメント」という声も上がっています。馬車馬という例えにも「人間は馬ではない」と批判されています。

一方で、「リーダーとしての覚悟がある」「自民党再建への意気込みを感じる」と、好意的に受け止めた層も意外とあるようです。拒否反応が強いと思われた若年層からも「かっこいい」「日本のために頑張ってくれそう」といった評価もきかれ、高市新総裁個人の「勤勉さ」や「政治家としての覚悟」として受け止めた人もいるようです。「問題視されなかった」というより「問題視する声もあったが理解の声もあった」ということでしょうか。

〇働き方改革の先駆者は経営の神様

高市新総裁は、松下政経塾の出身です。言わば、松下幸之助氏の思想を学び、政治の道を志した一人です。「経営の神様」と呼ばれる氏は、経済至上主義者ではなく、働くことは生きがいであり自己実現の手段としました。その一つが週休二日制です。社員の健康と仕事の生産性を高めるため、休みを1週間2日として、それぞれ休養と自己啓発にあてる「1日休養、1日教養」を提唱したのです。1960年代半ばのことで、倣う会社は僅かでした。しかし、休みは自分のために使うという、今のワークライフバランスの原型がここにあるように思います。仕事の豊かさ=生活の豊かさ。松下氏は週休二日制の生みの親とされていますが、「働き方改革」の先駆者といえます。

そして、週末の概念も変わっていきます。オイルショックが起こる少し前、某飲料会社のこんなワインのテレビCMがありました。

 

男性が花束とバケットとワインが一杯詰まった紙袋を抱えて歩いていく。これから囲む食卓に並ぶのでしょう。今日は金曜日で明日は休み。「金曜日には、花買って、パン買って、ワインを買って帰ります」というナレーション。

 

男性の豊かな週末の始まりを描いていますが、その象徴に花が選ばれていたのは、植物を扱う者として嬉しいですね。

 

前述の通り、約50年前に週休二日制を唱えた“経営の神様”は、休日を休養と教養にあてよと言いました。先人を見習い、今度の休日は普段のデジタルな生活とは少し距離をおいて、花や緑と過ごしてみてはいかがでしょう。自然を感じる郊外に出かけ、部屋に植物を飾るのも良いでしょう。メンタルが癒され、心身リフレッシュできます。地球温暖化のことなども少し勉強して、自分が出来ることから初めてみるのも良いでしょう。