NO,144「小さな森」を美しい日本語に ~青嵐が駆け抜ける季節~

5月を迎え、爽やかな風を感じるよく晴れた午後などは「風薫る」という思いで満ちていきます。「薫る」は本来“良い香りがする”という意味があります。風にまで香りを感じる初夏は、日本語が美しく冴える季節のひとつです。様々な言葉があるので、その奥深さと使い方を紹介しましょう。

○ビジネスで使われる初夏の季語

ビジネスでよく使われるのは、「○○の候」で始まる季語です。5月全体を通じて使われるのは「初夏の候」です。公式文書でも日常伝達文でも、また業界を問いません。5月中であれば上旬でも下旬でも問題なく、万能のフレーズです。しかしあまり知られていませんが、形式的には時期と体感によって次の4期間の使い分けがあるようです。

①立夏の候 → 5月上旬、暦重視で格式高め
②新緑の候→ 5月上旬〜中旬、爽やかさ重視
③向暑の候→ 5月中旬〜下旬、暑くなる予感
④薄暑の候→ 5月下旬~6月上旬、実際に汗ばむ

何故これだけ数日単位で季語を変えるのかというと、先ずは一期一会の考え方があるそうです。そして5月は季節の変わり目で、気候や相手の体調も変わりやすいことからこまめに挨拶した方がよい、それには毎回同じ季語で挨拶するのは芸がないということでしょう。言葉に対する日本人の美意識が感じられます。こうした使い分けができると、“作法を知っている人”という印象を与えると思います。

○初夏を表す、あまり知られてない日本語

季語以外にも、初夏を表す日本語はあります。以下のように、優しく、静かで、心を鎮めてくれる情景が浮かぶ美しい言葉ばかりです。

若葉雨 / 若葉に降るやさしい雨。梅雨ほど重くない雨。「若葉雨の午後」                    青嵐 / 青葉を揺らす爽やかだけどやや強い風。「青嵐が駆け抜ける」                      緑陰 / 木陰、特に新緑の下の涼しさ。「緑陰に憩う」                             夏隣 / 夏がすぐそこまで来ている感じ。「夏隣の風」                             薫風 / 初夏の風が草木の香りを運んでくる様子。「薫風の季節」

普段目にしない日本語ですが、さりげなく生活にとりいれたいものです。仕事もプライベートも幅が広がり、豊かな気持ちにさせてくれます。

こうして並べてみると、その殆どが自然に関わる言葉です。雨、風、光、やはり欠かせない緑が入っています。私たちグリーン・ポケットの「小さな森」も、美しい日本語として広まっていくことを願います。初夏だけではなく、全ての日本の季節を象徴する言葉になればよいですね。近年は地球温暖化で春や秋が短くなり、「四季折々」という言葉が失われつつあります。インドア装飾であるグリーン・ポケットの「小さな森」が、「四季折々」という美しい言葉の意味を継承していくなら、こんな嬉しい夢はありません。